HASEGAWA LETTER 2024 年( No.42 )/ 2024.11

THトピックス

生物の無限の可能性を追究 ~香りを通じた豊かな社会づくりを目指す~

長谷川香料株式会社執行役員
総合研究所技術研究所長 渡辺広幸

私たちは数千年前から多様な生物によって香りの恩恵を受けてきました。動植物から得られる“香り”は私たちの暮らしを豊かにし、現在に至るまで日々の生活に欠かせないものとなっています。しかし、私たちが“香り”を感じるメカニズムは長年謎に包まれたままで、2004年に米国科学者2名が「嗅覚受容体とその働き」でノーベル生理学・医学賞を受賞したことをきっかけに、ようやくその仕組みの端緒が明らかになりました。はるか昔から私たちの傍らに存在している“香り”は、まだまだ多くの魅力と謎を秘めています。

2024年のHASEGAWA LETTER onlineでは、生物と香りに関する研究事例を多様な角度から紹介してきました。さまざまな分野の生物とその学問が“香り”というキーワードでつながっており、香りがもたらす無限の可能性という副題にふさわしい記事の構成になったのではないかと思います。今回ご紹介した研究事例以外でも植物、昆虫、菌類などから私たちが学ぶことは数多く存在し、香り産業に携わる一員として生物とその営みがもたらす多様性の奥深さをあらためて感じる機会となりました。

当社では、香りを通じた豊かな社会づくりを目指す姿として香料ビジネスを発展させてまいりました。一方でかけがえのない地球を未来に引き継ぐことを環境理念とし、2020年にCSR方針を掲げ、同方針を毎年見直しながら、総合香料メーカーとして地球環境保全に配慮した経済活動を継続しています。2022年3月には「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明し、TCFDおよびTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の開示提言を踏まえた情報開示に取り組んでいます。当社は引き続き気候および生物多様性に関わる変化をリスクのみならず事業機会と捉え、事業活動を継続してまいります。

これまでに当社が取り組んできた企業の社会的責任を果たす活動については、サステナビリティレポートにより明文化しており、毎年の活動をタイムリーに発信して広く周知に努めています。責任ある原料の調達、環境の保全、人権と多様性の尊重、これらを重視した企業活動を行っており、香料製品の開発を通じて社会課題の解決に向き合う研究開発を推進しています。

今後香料が地球と共存した無限の発展を遂げていくために、香料産業の一員として当社は一層の努力をしていきます。今後のHASEGAWA LETTER onlineでさまざまの観点から魅力ある内容を発信していきますので引き続きご期待ください。

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