HASEGAWA LETTER 2022 年( No.40 )/ 2022.04

THトピックス

【書籍出版のお知らせ】長谷川香料が伝えたい
においと香りの世界

『絵でわかるにおいと香りの不思議』
(講談社刊)

香料の世界を幅広くお伝えするための取り組み

 香りにスポットを当てた商品が日本の市場に登場し始めたのは1980年代頃からでした。
 「香り」に関心を寄せる方が増加していく中で、長谷川香料は香料や香りがどのようにつくられているのかを正しく理解してもらうために、1988年に『においの化学』(裳華房)を出版しました。
 その後、2013年には香料に関する説明だけでなく、その安全性や関連法規、また香りと脳科学の結びつきについても解説した『香料の科学』(講談社)を出版しました。『香料の科学』は、香料を科学的に詳説した入門書として好評をいただき、増刷を重ねていますが、専門的な知識がなくても読める書籍を望む声もいただいておりました。
 そして今回、「におい」や「香り」について専門家でなくとも理解しやすいように、絵(イラスト)を多用し、できるだけわかりやすい言葉で解説した『絵でわかるにおいと香りの不思議』(講談社)を4月25日に出版いたしました。

目に見えない「におい」を
伝えるために

 当社総合研究所では、多くの「におい」のスペシャリストが日々研究開発に携わっています。本書では、さまざまな「におい」について、13人の若手研究員が得意分野を担当して執筆しています。
 香りって何だろう?このにおいは何?生活の中でふとした瞬間に感じた「におい」「香り」に興味をもっていただけるよう、難しい内容や専門用語は、できるだけ身近な題材を使って説明することを心がけました。目に見えない「におい」と「香り」の面白さを感じていただけるように、さらに思わず人に話したくなるような豆知識も盛り込んでいます。

『絵でわかるにおいと香りの不思議』(概要)

 本書では「におい」と「香り」の世界を、化学、生物、脳科学、歴史、工業製品の5つに分類してわかりやすく説明しています。
第1章 においとは何か
「におい」とは何か化学的に説明します。さらに生物と「におい」の関係を探ります。動物や植物は日々を生き抜き子孫を残していくために、「におい」をとても大切な情報源として活用しているのです。
第2章 生活のなかにあるにおい 
~一日を通して~

朝の食卓、家から駅までの通り道、汗の「におい」、お店から漂うおいしそうな「におい」、家の中、そして山や海といった自然の中・・・私たちの身の回りにあるさまざまな「におい」にせまります。
第3章 においがするってどういうこと?
人はどのように「におい」を感じているのでしょう。鼻の構造から脳にたどり着くまでのルート、「におい」を認識する仕組み、おいしいと感じる感覚など脳科学分野について解説します。
第4章 においを積極的に活用した人類の歴史
古くは神秘なものとして「におい」は神に捧げられていました。やがて身体にまとったり、おいしさを求めてハーブやスパイスを料理に使うようになりました。人類が「におい」をどのように活用してきたか、その歩みを紹介します。
第5章 においを工業製品としてつくる
香水や化粧品、シャンプーなどの日用品、ペットボトルや缶飲料、インスタント食品、スナック菓子などの加工食品…さまざまな製品の原料の一つとして「におい=香料」が活用されています。調香師がつくった香りが、どのようにして香料として製品に使われているのか、その工程を解説します。

不思議な「におい」の世界へ

 「におい」は、動物や植物にとって大切なコミュニケーションツールです。厄介者として扱われがちな菌類も生きるために「におい」を使います。そして、私たち人間も古代より「におい」を日々の生活で活用してきました。生物にとって「におい」はとても重要な役割を果たしているのに、「におい」がどのようなものか、まだ知られていないことがたくさんあります。
 おいしそうな「におい」に思わずお腹がグゥーと鳴ったり、嫌な「におい」に鼻をつまんだり、古いアルバムや本の「におい」を嗅いで懐かしい記憶を思い出したり、という経験をしたことがあるでしょう。なぜ、おいしいと思うのでしょう。嫌な「におい」はどのように判断しているのでしょう。なぜ、懐かしい記憶を思い出すのでしょう。
 生活の中でふとした瞬間に感じた「におい」と「香り」に興味をもっていただき、不思議な「におい」と「香り」の世界の扉を開いていただきたいと思います。

 『絵でわかるにおいと香りの不思議』を手にした方々に、目には見えない新しい世界が広がることを願っています。

本書の印税は、全て慈善団体へ寄付いたします。

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