香りの用語解説

随時、香りに関する用語解説を追加していきます。

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香料化合物

科学技術の結晶から生まれる無限の香り。

香料化合物

香りは化合物の集合体で、多いものでは数百種類の有機化合物で構成されています。におい成分の分析技術が発達したことで、におい物質の中から特徴がある香り成分を分離する、あるいは合成するなどして香料の原料となる香料化合物がつくられるようになりました。調香師は香料化合物を用いて、いろいろな組み合わせにより無限の香りを創造することができます。

香料化合物
香料化合物は、天然物から単離された香料化合物(単離香料)と、単離香料や石油由来の原料などから化学合成を経てつくられる合成香料があります。両方とも化学的に定義された物質になります。

単離香料
におい成分を含む動植物は、細かく分解していくといろいろな化学物質に分けられます。一般的に植物は、水分、細胞壁の主成分であるセルロース、糖やアミノ酸などの栄養成分、色素成分やにおい成分などに分解されます。このにおい成分が天然香料となります。におい成分には、多くの香料化合物が集まっており、これをさらに物理的に分離して抽出された香料化合物が単離香料となります。
例えば、アイスクリームなどに使用されているバニラには、におい成分として約300種類の化合物があり、その中のバニリンという化合物が、バニラの香りの主要な成分となっています。

合成香料
石油由来のエチレンやプロピレンなどの基礎化学品や単離香料を原料として、有機合成化学の手法を利用し化学変換を施された香料のことをいいます。
例えば、スパイスとして知られるクローブを水蒸気蒸留したクローブ油からは、単離香料オイゲノールが分離できます。このオイゲノールを原料として、化学反応させることでバニリンを得ることができます。
近年は地球温暖化対策で化石燃料を使用しないクリーンでサステナブルな対応が求められており、バイオ技術による香料化合物の製造などの新しい技術が研究開発されています。
例えば、この技術を用いて米ぬかから得られるフェルラ酸を原料にバイオ技術を用いてバニリンがつくられています。

香料化合物の役割
香料化合物は、単独で使用されることはほとんどありません。通常は複数の香料化合物をバランスよく組み合わせたり、天然香料と組み合わせたのち使用しやすい濃度に調整し香料製品(調合香料)がつくられます。
パワフルな香りをもつ香料化合物もあり、天然香料だけでは表現できない魅力的な香りをつくることができます。新しく開発された香料化合物は、安全性の確認ができたものが使用されています。

香料化合物は純度などで規格化できるため、安定した品質で供給することができます。また絶滅の恐れのある動植物から得られる入手の難しい天然香料の成分を香料化合物に変更して用いることにより、貴重な天然香料のにおいを再現することができます。このように香料化合物は、香料製品を工業的に製造する原料として重要な素材となっています。

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