香りの用語解説

随時、香りに関する用語解説を追加していきます。

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リポソーム

届けたい成分を包み込み、カラダにやさしく届ける技術。

リポソーム

「リポソーム」ってご存じですか?
今回は香りの用語ではありませんが、さまざまな業界で注目されている技術として解説します。

リポソームは、私たち人間の細胞や細胞膜に類似した構成成分(主にリン脂質)を使ってできるカプセルです。サイズは細胞よりもずっと小さいナノサイズの微粒子です。(図参照)
元々はナノサイズのカプセルの中に薬を封入し、体内の患部に届けるために開発された医薬品技術です。例えば、抗がん剤などの薬を患部に狙い通りに集中的に届けることで、薬の副作用を抑えつつ、必要最低限の量で効果を発揮させるDDS:Drug Delivery System(ドラッグデリバリーシステム)として製薬会社で研究が進められています。人体への安全性の高さ、水溶性や油溶性のさまざまな物質を運べるなどの利点から、医薬品だけでなく、化粧品や食品をはじめ多様な用途にも応用されています。

 

 

化粧品においては、医薬品のDDSと似た役割を期待して、美容成分をリポソームに内包させることで、角層や毛髪への浸透性や徐放性を高めるなど、美容成分の効果をより引き出す目的で活用されています。その他、リポソームそのものの保湿力の高さや使用感の良さもメリットとして挙げられます。
近年の技術革新により、従来は脂質膜が多層状(マルチラメラ)で、粒子サイズも100 nmを超えるリポソームが一般的であったのに対し、より製造が難しいとされる単層状(シングルラメラ)で、粒子サイズが100 nmより小さく、従来以上の浸透性の高さが期待できるリポソーム化粧品も開発できるようになってきています。さらには、保湿効果の点や美容成分の運び手としてだけではなく、リポソームそのものが肌状態を改善していく機能性を兼ね備えた美容成分として働くという、新しいタイプのリポソーム技術も現れ始めており、リポソーム化粧品市場がこれまで以上に盛り上がってくるものと期待されます。

私たちは香料会社の技術により、革新的なリポソームを調製できる技術を開発して社会に役立てていきたいと考えております。

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