香りの用語解説

随時、香りに関する用語解説を追加していきます。

> AEDA

AEDA

においに真に貢献する成分を見つけ出す。

AEDA

においを分析する上で最強の分析ツールは何だと思いますか? 答えは「人間の鼻」です。そんな最強ツールを使ったAEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)を紹介します。

AEDAで、においの強さを数値化
普段私たちが感じているにおいには、何百という化合物が含まれています。それらがどのような化合物であるかはGC-MS測定により知ることができますが、においの分析のためにはそれだけでは情報が足りません。においに含まれる化合物はそれぞれにおいの質も、強さも違います。たとえ量的に多く含まれていても、におい全体にほとんど影響を及ぼさない化合物もあれば、ほんの微量しか含まれていないのに大きな影響を及ぼす化合物もあります。
そのような微量な成分を探し出すために考案されたのがAEDAです。ミュンヘン工科大学のSchieberle教授により1987年に開発されたAEDAは、人の鼻を検出器に見立てることで、以前は定性的にしか判断できなかった化合物のにおいの強さを数値によって示すことを可能にしました。におい嗅ぎのできるGCシステムさえあればすぐに実施できるこの手法は、世界中の多くのフレーバー研究者に用いられるようになり、さまざまな天然物のにおいに貢献する化合物が続々と解明されてきました。

FD値が大きいほど、そのにおいに大きく貢献
AEDAでは、におい濃縮物を溶媒で3倍、9倍……のように一定の倍率で希釈し、それぞれGC-におい嗅ぎ(GC-SniffingまたはGC-Olfactometry、GC-O)を行います。希釈倍率が低いうちは多くの箇所でにおいが嗅げますが、希釈していくとにおいが薄くなるため、だんだんその数が減ってきます。においが嗅げなくなった直前の希釈倍率がその化合物のFD(Flavor Dilution)値になります。FD値が大きいほど、強いにおいをもち、元のにおいに大きく貢献している化合物であると判断できるのです。


(長谷川香料株式会社.HASEGAWA LETTER.no.33,p.15)

© T.HASEGAWA CO., LTD. / HASEGAWA LETTER online
-hasegawa-letter.com

他の用語を知る

記事を読む