HASEGAWA LETTER 2026年( No.44 )/ 2026.01

THトピックス

ようこそ、香りの庭へ ~長谷川香料(株)総合研究所の庭の紹介~

長谷川香料株式会社総合研究所 冨田直己

香料会社の庭というと、どのようなものを想像されるでしょうか。長谷川香料では、神奈川県川崎市にある研究部門の総合研究所が竣工した2009年に植栽を一新しました。研究所入り口の一角にビオトープを配置し、研究棟を取り囲むように季節を感じる香りの庭として整備しました。今回は香りの庭と、庭から始まる研究活動についてご紹介します。

香りの庭の一年

現在、研究所の庭には80種を超える香る植物があります。寒い冬の終わりを告げるジンチョウゲ、その後に続くサクラの開花が私たちの庭の花の季節の始まりです。新緑が美しい時期になる頃バラをはじめとした多くの花が咲き乱れ、庭は最も華やかになります。梅雨入りが近づくと、総合研究所のエントランスではクチナシやラベンダーが訪問者を出迎えます。暑い夏を越え涼しくなってくると、キンモクセイが秋の訪れを告げ、秋のバラが咲き終わる頃寒い冬を迎えます。会社に居ながらにして、季節ごとに移り変わる香りを感じることができます。

庭から始まる研究活動と開発 
aroma CAPTURE®

私たちの庭は、香りを楽しむことだけが目的ではありません。庭は植物の香りを深く研究する場でもあります。例えば花の香りは時刻、気温、天候、開花ステージとさまざまな要因により変わってきます。また、切り花にすると香りが変わってしまう品種もあります。植物の香り研究は私たちの庭だけで行うものではありませんが、研究所敷地内という身近な場所で研究試料を栽培することにより、詳細な検討が可能となり、私たちが求める香りをより深く研究することができます。
バラの花の研究では、さまざまなタイプのバラの苗を取り寄せ、栽培することから始めました。バラが開花すると、香気評価や香気分析を行い、各品種の特徴を明らかにしたのち、9種類のバラの香りを再現する香料を開発しました。このような研究を基に、植物の自然な香りにこだわって作成されたシリーズがaroma CAPTURE®です。現在60種以上を収載するこのシリーズにはHASEGAWA LETTER onlineのOUR技術レポートに掲載された2022年号のジャスミン2024年号のクロモジの研究から生まれた香料も含まれています。植物の香りはその季節でしか感じることができないものが多くありますが、aroma CAPTURE®シリーズではいつでも香りを体験いただけます。

感じるチカラを育む庭として

植物の香りから得られる気付きや学びは多くあります。香りを探求する私たちにとって、日々の生活の中で香りを感じることは非常に重要です。感じるチカラを育み、香りで皆さまの豊かな生活に貢献する一助を目指していきます。

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