香りの用語解説

随時、香りに関する用語解説を追加していきます。

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閾値

においの「感じる・感じない」を分ける境目。

閾値

皆さんは、人よりも敏感に感じる香りはありますか?
季節の変わり目に、ジンチョウゲやキンモクセイの気配を香りでふと感じたことがある方もいらっしゃると思います。咲き始めた花の香りについて周りの人に尋ねても「まだわからない」と共感を得られないこともあります。花に限らず、食べ物などの香りを人より早く感じたり、逆に気が付かないことがあると思いますが、こうした違いにはにおいの「閾値」が関係しています。

閾値とは
香りの世界における「閾値」は、においを感じる濃度と感じない濃度の境目を示します。何のにおいかわからないものの、においの存在を確認できる最低濃度を「検知閾値」、どのようなにおいなのかを表現できる最低濃度を「認知閾値」といいます。このにおいを感じる濃度はにおい物質によって桁違いに異なっています。例えば、50 mプールに1滴入れただけのごく微量でもにおう物質があり、ガスの付臭剤として利用されています。一方で、魚臭に感じるアンモニアは、バケツに数滴ほどの比較的高濃度にならないとにおいを感じにくい物質です。

においの感じ方には法則がある
人間の感覚は弱い刺激には敏感で、強い刺激には鈍感であるという「ウェーバー・フェヒナーの法則」があります。この法則ににおいを当てはめると、「におい成分の濃度を上げても、その増加分に比例して感じ方は強くならない」と表せます。例えば、バラ1本の場合と、さらに10本、20本と花束として増やした場合、ある程度までは香りが強くなることを感じても徐々に香りの感じ方が鈍り、「香りが強くなった」と感じる差は小さくなります。反対に香りを感じる境目の「閾値」付近ではわずかな増減でも香りの強弱を敏感に感じとることができます。

香りを感じる濃度「閾値」はにおい物質によって異なることに加え、年齢や体調、慣れなどが影響するので個人差が出ます。冒頭で紹介した花のかすかな香りに対する気付きの違いは、花の咲き始めは香りが弱く、「閾値」の個人差が出たためと考えられます。

「閾値」は私たちの生活にあふれている「におい」についての理解を深めることに加え、香りづくりの現場でも大切な指標になります。香料を創作する際には、におい物質の「閾値」を参考にしながら、香料原料の種類や配合量を検討します。「閾値」を理解することは、香料を狙いどおりに設計・調整するために欠かせないポイントです。

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