香りの用語解説

随時、香りに関する用語解説を追加していきます。

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超臨界二酸化炭素抽出

原料そのままの香りを抽出する技術。

超臨界二酸化炭素抽出

食品から効率よくにおいを抽出できる溶剤の特徴はどのようなものでしょうか。食品の内部深くによく入り込み、有効成分をしっかりと溶かし、最終的にはにおい成分を高濃度で得ることができる、そんな理想的な溶剤が超臨界流体です。さまざまな物質が超臨界流体となりますが、特に普段空気中にある二酸化炭素を超臨界流体として利用した超臨界二酸化炭素抽出は、原料から効率的に香りを抽出することができるだけでなく、環境負荷が少なく安全性が高い抽出方法です。

超臨界流体とは
物質は、温度や圧力によって、固体・液体・気体の3つの状態をとります。例えば水の場合は、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の三態となります。実は水に一定の温度と圧力(374.3 ℃以上で22.12 MPa以上)をかけると、三態に当てはまらない、気体と液体の性質を併せもつ超臨界流体となります。実際に触れることはできませんが、かたまりになった気体、さらさらして捉えどころのない液体、といったところでしょうか。超臨界流体は、気体のように小さな隙間に入り込みやすく、液体のように何かを溶かしやすい性質となります。つまり、液体溶剤よりもたくさんの成分を効率的に抽出することができるのです。
水やアンモニアなどさまざまな物質が超臨界流体になりますが、中でも二酸化炭素は、比較的低温、低圧力(31.1 ℃以上で7.4 MPa以上)で超臨界流体となります。超臨界二酸化炭素流体は特ににおい成分を抽出しやすい抽出特性がある一方、無味無臭で、大気に放出されるとあっという間に二酸化炭素に戻ります。つまり、抽出したにおい成分だけが手元に残るわけです。しかも、大気にある有害性の低い二酸化炭素を比較的低エネルギーで抽出溶剤として活用しているので、環境や安全に配慮された抽出法なのです。

超臨界二酸化炭素抽出
超臨界二酸化炭素抽出の優れた抽出能力を見てみましょう。バニラビーンズとその超臨界二酸化炭素抽出物のヘッドスペース ガスクロマトグラフィー(GC)によるにおい成分分析チャートをご覧ください(下図)。二つのGCパターンはとてもよく似ており、バニラビーンズ本来のにおいがそのまま取れていることがわかります。実際、この抽出物はバニラビーンズを何倍も濃くしたようなとてもよいにおいがします。ほかの抽出法では決してまねできない高品質な抽出物といえます。

ただし、超臨界抽出は、複雑な装置を使って圧力と温度を高い精度でコントロールする必要があり、抽出物は非常に高価となります。しかしその抽出特性、抽出能力を生かして、バニラや鰹節などのにおい成分抽出のほか、トマトからリコペンを抽出する、コーヒーからカフェインを抜く、などさまざまな活用がされています。

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