検索記事一覧『幸せ』

OUR 技術レポート

健やかな素肌を保つ革新的スキンケア
~多価アルコール法を用いたサイズ制御
リポソームの調製~

長谷川香料(株)総合研究所
越知貴夫

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< 3分でわかる解説 > 健やかな素肌を保つ革新的スキンケア
 最近何かと話題のリポソーム。化粧品のうたい文句として、目にする機会が増えてきたように感じる。リポソームとは、生体膜と同様の成分でつくられたナノサイズのカプセルで、医薬品・化粧品・食品などに使われているものである。リポソームを用いた化粧品では、美容成分の効果感を高め、肌バリア機能の補強、高保湿性、「しっとり」と「さらさら」を両立した 魅力的な使用感といった数々のメリットが生まれる。しかし、これらの機能発現のメカニズムについてはまだわかっていないことが多い。またリポソームは製造する際に複雑な工程と高い技術を必要とすることから、どちらかというと高級な製品向けの製剤技術として認識されていた。
 私たちが開発したリポソーム技術は、界面活性剤などの副原料を必要とせず、特殊な装置を使わずに安定性の高いリポソームを調製できることが特徴である。今回の検討では、リポソームの調製プロセスを検証することで、同一組成でありながら、リポソームの粒径を制御できることを見いだした。さらに粒径の異なる試料を実際に肌に塗布し、粒径の大小で肌に感じる感触が異なることを確認した。今回の検討により、使用目的に合ったタイプのリポソームを簡便に調製することができる可能性が示されたと考える。
 私たちは開発したプレリポソーム製剤をNANOLYS®と名付け、長谷川香料の製品としている。NANOLYS®は、単独で、肌バリア機能の改善や抗炎症作用といった敏感肌に最適な有効性をもつ高機能なリポソームを簡便に調製できることが特徴である。スキンケア・ボディケア・ヘアケア製品など、幅広い化粧品に応用可能なことから、より多くの肌悩み、毛髪悩みを抱えている方のお役に立てることができれば幸いである。

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  • 2023年 (No.41)
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自然科学香話

赤ちゃんの匂いと体臭の不思議
~幸せなコミュニケーションをもたらす身近な香りのはなし~

東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻生物化学研究室特任助教
白須未香

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< 3分でわかる解説 > 赤ちゃんの匂いと体臭の不思議
 人間にとって嗅覚は、視聴覚の発達に伴いとかく軽視されがちな感覚です。しかし、一方で、私たちは、自分たちをとりまくあらゆる生活場面において、香りが愛おしさや心地よさをもたらすことや、記憶と深く結びついていることも知っています。昔、あるワークショップで、輪になって座ってもらった20人のお母さんの周りを目隠しした小学生が歩いて回り、自分のお母さんを匂いだけで当てられるかというアクティビティをしました。するとほぼすべての子供が、自分のお母さんを探し当てることができました。最新の科学研究の世界でも、男性が排卵期の女性の香りを好むことや、子供を産んだ女性が新生児の着た産着の匂いを快く感じ、さらに脳内の報酬系に関わる領域が活性化されるということが明らかになっています。つまり、私たちは最も身近な匂いである体臭を知らず知らずのうちにコミュニケーションのツールとして使っているのです。
 東京大学大学院農学生命科学研究科生物化学研究室では、人と人のコミュニケーションを豊かにする香りの探究を行っており、そのキーとなる成分が体臭にあるのではないかと仮説を立ててさまざまな研究を進めています。最新の研究では、世代を問わず多くの人がほっとすると答える“赤ちゃんの匂い”を特定し、その匂いを嗅ぐことでお母さんの愛情ホルモン(オキシトシン)が上昇することが分かりました。これは、赤ちゃんの体臭中の特定の成分が母子間コミュニケーションに果たす役割を世界で初めて明らかにした重要な知見といえます。このように、ヒトが本来持っている体臭の中から、私たちがポジティブになる香りを見いだすことができれば、香害や化学物質過敏症といった問題を気にすることなく、その香りを空間の香りデザインや香り製品に用いることができると期待しています。

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  • 2023年 (No.41)
  • 自然科学香話

カオリ to ミライ

五感からの幸せ
~感覚を研ぎ澄ますと“みえて”くる
豊かな世界~

(一社)ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表理事
志村季世恵

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< 3分でわかる解説 > 五感からの幸せ
 ダイアログ・イン・ザ・ダーク 。暗闇の中での対話という意味である。漆黒の暗闇の中では、視覚以外の感覚が研ぎ澄まされるために普段よりも感覚の拡張が起きる。足裏には触感が伝わり、音や香りに集中していくと実に豊かな世界へと導かれる。暗闇を案内する人たちは、視覚障害者。彼らの頭の中には地図がある。それは平面の二次元でなく、立体的な三次元の地図だそうだ。その地図に聴覚、触覚、嗅覚を合わせて駆使しながら外を歩く。五感をバランスよく使うことで、感じる力も高まる。時には手のひらにある画面から目を離し、視覚に頼る生活を見直して五感を育む時間を作ってはどうだろう。

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  • 2023年 (No.41)
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OUR 技術レポート

クロワッサンの世界
~食感と香りがもたらす幸福感~

長谷川香料(株)総合研究所
高橋光輝

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< 3分でわかる解説 > クロワッサンの世界
 クロワッサンはオーストリア・ウィーンで誕生し、それがフランスに渡り、現在の形に進化を遂げた。そんなクロワッサンであるが、今や、日本中どこに行っても食べることができるくらい、日本人にとってもなじみ深いものとなっており、人々を魅了している。
 「クロワッサン」について皆さんはどのようなものをイメージするだろうか。一枚一枚の美しい層が特徴的な見た目やつい手に取りたくなるようなおいしそうな焼き色。一口噛めば、外側はサクサク、ホロホロ、内側はしっとりとした食感と口いっぱいに広がる、バターのジュワッと感じるほどの濃厚な味わいや芳醇な香り、そこからくる贅沢感…。私は、クロワッサンにはこのように五感を刺激するおいしさがあり、そこが人々を魅了し、食べる人に「喜び」や「幸せ」をもたらす要因になっていると考えている。
 では、クロワッサンのおいしさはどのようにつくられるのか? 今回は、おいしさの要素として重要な「食感」と「香り」に着目し、クロワッサンの製造工程を見ていった。まず、クロワッサンはパンのように発酵工程を経ることで、しっとりとした食感や風味、香りがつくられる。また、パイのように油脂を折り込むことで、バターなどの油脂の芳醇な香りと味わいが生まれる。さらには、焼くことで製品の形や美しい層のある見た目、心地よい食感、甘香ばしい香りが生み出される。製造工程の相乗効果により、クロワッサンのおいしさとなり、人々を魅了する製品になっていることが考えられる。
 ベーカリーの店頭には、さまざまなクロワッサンが売られており、つくり手のこだわりを強く感じることができる。皆さんも、これを機に自分の好みのクロワッサンを探してみては? また、昨今の世界的な情勢を考えると、ストレスを感じることが多い。こんなときだからこそクロワッサンを食べることで幸せを感じてみてはどうだろうか。

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  • 2023年 (No.41)
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OUR 技術レポート

心が喜ぶ香り
ラベンダーのリラックス効果
~嗜好性を考慮した心理的リラックス効果の可視化~

長谷川香料(株)総合研究所
四宮功貴

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< 3分でわかる解説 > 心が喜ぶ香り ラベンダーのリラックス効果
 「香り」は心理面からの解決策の一つになると考えられる。特に、「ラベンダーの香りを嗅ぐと気持ちがリラックスする」といったイメージをもつ人も多い。しかしながら、たとえ同じ香りであったとしても、嗜好性の違いにより嗅いだときの印象を心地よく感じる人もいれば、不快に感じる人もいる。リラックス効果を追究するには、香りの嗜好性を考慮することが重要となる。そこでラベンダー精油のリラックス効果をより詳細にすることを目的に、ラベンダー精油の香りの嗜好性に着目した場合のリラックス効果を検証することにした。
 ラベンダー精油の香りを嗅いだ際の心理的リラックス効果を鼻部皮膚温度計測により可視化した。ラベンダー精油の香りを嗅いで、心理的リラックス効果を得るためには、その香りを好きであるという前提条件が必要であることがわかった。また、当社独自のツールであるAroma Rainbow®を用いて、ラベンダー精油の香りに合致する色を選択させたところ、ラベンダーの香りが好きな人は明るい紫を、嫌いな人は暗い紫を選ぶ傾向にあった。香りの嗜好性と心理的なリラックス効果などを可視化することで、香りのイメージと効果を一致させることが可能となり、消費者が「また購入したい」と思えるような、真に満足するモノづくりに貢献できると考える。

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社会の中の香り

おいしい料理
~料理人が追い続ける幸せの香り~

長谷川香料(株)総合研究所コーポレートシェフ
石川宏二

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< 3分でわかる解説 > おいしい料理
 「おいしいものを食べると幸せを感じる」と、皆さんよくおっしゃいます。生理学的には、血糖値の上昇で満腹中枢が刺激されるからとか、さまざまな脳内物質が分泌されるからなどの説明がいろいろなされているようです。しかし、料理を作る立場からすると、それだけでは解決できないものがあるように思います。
 皆さんはどんなものを食べたときに「おいしい!」と感じますか? 食べ慣れたものを食べたときですか?
まったく新しい味の食べ物に出会ったときですか?
子どもの頃によく食べたものに再会したときですか?
大好物のお菓子や料理?
SNSで評判になったもの?
 「おいしい!」という言葉にはきっとその人その人のいろんな想いが詰まっているのだと思います。料理人の私は、自分の目指すベストの味まで仕上げた料理をお出しします。召し上がっていただいた方から「おいしい!」という言葉が引き出せるかどうか、そこには食べる側と作る側のせめぎ合いがいつもあるのかもしれません。
 「おいしい料理」とは何なのか、「おいしい料理」がなぜ幸せ感につながるのか、ここでは料理人の視点から考えてみました。
 もちろん、決して簡単には答えが出ない問いであるとわかりつつです。

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  • 2023年 (No.41)
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