香りと言葉とAI
~AIは香りを理解するか?~
- < 3分でわかる解説 > 香りと言葉とAI
- 人類史上初めて、人類以外で、人類と自然に会話できる存在が現れました。それはAI(人工知能)です。関西学院大学工学部の巳波研究室では、AI技術のさらなる高度化だけでなく、その活用による社会課題の解決に向けた研究開発も進めています。長谷川香料(株)総合研究所と巳波研究室との共同研究において、欲しい香りのイメージを伝えるだけで、それに合った香りを選んでくれるAIを開発しました。これは、大規模言語モデルという技術を活用して、香りのイメージを説明する文章を高次元空間の点に変換し、さらにニューラルネットワークというものによって、同じ香りに対応する点かどうか識別できるようにしたものです。その結果、欲しい香りのイメージを言葉で説明すれば、意図をくみ取ってその香りを提示できるようになりました。食品分野の課題解決における最も重要な観点の一つは「おいしさ」ですが、食品香料は、香りを付与することで食品のおいしさを支える大きな役割を担っています。香りの選定や創出などをサポートする「香りのAI」の重要性は一層高まるでしょう。このように、社会課題を解決する有用なツールとして、AIをさまざまな分野で活用し、これまで以上に高いレベルのものを実現できるようにしていくことが重要です。
このようなAIを実現するための重要な鍵になるのは「言葉」です。言葉を媒介として、例えば香りを扱えるAIを作ることができました。しかし、身体や五感に基づく感覚など、人間には言葉にできないものがあり、まだAIには扱えません。ただ、それらもいずれは扱えるようになっていくでしょう。
香りについて、もっと語りましょう。たとえ正確でなくても、矛盾があっても、多くの言葉を紡いで「語りえぬものを語ろうとする試みの積み重ね」によって、私たち自身の世界が広がると同時に、いずれ人間と同様の機能も持ったAIと世界を共有できるようになり、AIは人間と協働するパートナーとして育ち、人間だけでは到達し得ない高みに向かい、そして世界はより豊かになることでしょう。
